児島徳夫コラム:有機無農薬農法にまつわるアレコレを語る

児島徳夫コラム3

無農薬でなぜ大丈夫か? — チッ素過多と病害虫

見事に天に向かって立ち上がっている児島の作ったコシヒカリ

児島: イネでも野菜でも、いいものって、無農薬でもそれほど虫に喰われないんですよ。どうしてだか分かりますか?

 肥料のやり方が悪かったりして、生理不順な状態になったとき、作物というものは、たいてい「チッ素過多」の状態になっているんですよ。

 チッ素というのは、植物の成長に不可欠な栄養素で、与えればどんどん植物は大きくなります。でも、多く与えすぎると、細胞の数が増えるのではなくて、1つ1つの細胞がぶよぶよ肥大して、膜が薄くなるわけ。

 そういう状態で外見だけはでかくなっていく。でも、膜が薄くなった細胞からは、アミノ酸とかいろんな細胞内部の栄養分がにじみ出て、そのニオイに惹かれて虫が集まってくるわけ。これは、害虫だけでなく、病原菌についても同じことがいえます。チッ素過多のイネは病気にかかりやすくなる。

太陽光を最大限に葉に受けられるようにイネを育てる. それがおいしい米を作る秘訣です. こんなふうに葉先が下を向いてしおれてしまってはダメなんです

 いいものというのは、1つ1つの細胞がぎゅっと締まって、膜もしっかりしてる。だから虫を呼ぶニオイもあまり発散しないわけです。

 有機農法っていうのは、細胞を肥大させずに数を増やすことによって成長させていくわけですね。そういう育ち方をしたものは、イネの葉でも、しゃんとして70度くらいの角度で天に向かって突きだしてる。そういうイネには虫がつきにくいし、病気にも強くなるわけです。しかも、天に向かって伸びているから、太陽光を最大限に葉に受けることができる。光合成が盛んになって、どんどんうま味となる炭水化物が蓄えられていくわけですね。

葉が天を向き、イネ全体も倒れずに上を向いている児島の作物. 稲穂だけがずっしり重く頭を垂れている

 チッ素過多に育ったイネの葉は、腰が弱くなって、天を向かず、先端が地に向かって垂れています。そうなると、太陽光のあたる面積も少なくなって、光合成も活発じゃなくなるから、炭水化物の生成量が少なくなる。うま味は蓄積されないし、元気な成長もできなくなる。ひ弱に形ばかり大きくなって、結果、倒れてしまうことになりがちです。

 とくにコシヒカリはもともと丈が高く伸びて倒れやすい品種なんです。でも、わたしのところのは… 倒れてないでしょう? それにはちゃんとこうした理由があるわけです。

児島の田んぼのイネの根本のクローズアップ

 無農薬でやってて一番たいへんなのは、だから、草刈りですね。雑草はイネの生育をじゃまするだけでなく、いろんな害虫や病気も呼び込みますから、まめに草刈りして田んぼをきれいにしておかないとならない。

 「紙マルチ」である程度の労力は節約できますが、やっぱり、暑いなかで毎日毎日草刈りをしないとならない時期が何度かあります。西本くんなんか、慣れないうちはかるい熱中症になったりしながら、がんばってくれてますが、これが辛くてもし除草剤に頼ってしまったら、もうそれは悪魔のささやき、麻薬のように農薬をやめられなくなるんですよ。な〜にしろ、楽ちんですからね。(笑い)

田植え前の草刈り(5月15日~19日)撮影は15、16、17日 「湯川、赤留、中道の草刈り、5枚」・・・雪解けの4月から一カ月ほどで草がどんどん生えてくる。田植えの作業時、周りに草があると作業効率が悪くなるので田んぼの入り口と周りを草刈...

Posted by 自然農法「無」の会 on 草刈り2015(5月19日)

紙マルチを敷いた田んぼ(田植えの季節)

 除草剤だの殺虫剤だの農薬をまいた田んぼは見ればすぐに分かりますね。田んぼの中はもちろん、あぜ道にも緑の草が生えていなくて、地面に茶色く乾いた草の残骸がこびりついてる。そういうところにはスギナがよく育ちます。スギナは農薬に強いんですね。

除草剤をまいた土地にはスギナが栄える

ある年の西本くんの作業日誌より. 半分以上を草刈りが占めている6月前半の記録. 真夏の盛りにも草刈りの日々がつづく